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部屋のドアを取り払った長屋スタイルのオフィスは今のところ大成功

「ほっといてくれ、結果はちゃんと出すから、それまで黙っててくれ」の環境で生きてきたデイヴと石器時代に東方で働いただけの私が、ヘリコプターペアレンツに育てられた世代の若者10人(全員テキサス大学生と卒業生)を率いて働いてもらう。うまくいく自信は全くなく、オフィスに移った21日、夜遅くの帰り道にはちょっと弱気になった。「なんか、みんなやる気があるかどうかわかんないなあ」という不安が募った。

おそらく彼らのほうも、デイヴと私のことを「えっつー、家具の組み立てなんかさせるんか、変だよなあ。こいつ等、何考えてるだ」と内心思ったことだろう。また、初めて会った人たちと9時から5時まで一緒にいること自体が疲れたのだと思う。

家についてから、私とデイヴは傾向と対策を話し合った。

この世代の人は、「ほっといてくれ、自分で考えてやる」世代ではなくて、親やコーチに年柄年中、どのようにゴールに到達するのかレールを敷かれて、引っ張られてきた世代だ。だから、ゴールを設定して、それをやる目的は何なのか、いつまでにどのような手順でやるのかを示すことが最も重要だという結論に達した。それも日を待たずに翌日から。

  • 各々のインターンに週単位の、すぐに取り掛かれる課題を与える。
  • 同時に、中長期でアタックする課題も設定する。
  • 月曜日の全体のミーティングでステータスを報告する

ということを決めて、私はOffice Depotに壁にかける予定表を買いに行った。デジタルカレンダーとは別に、部屋の壁に締切日と課題を書き込もうと思ったのだ。2人のITのインターンがやるべきことは直ぐに、分かったが、残りはちょっとした工夫が必要だった。が、何とか各々に割り振る仕事を見つけた。そしてデイヴが全員にEメールを出した。

二日目は、社内的なコミュニケーションの取り方と様々なアカウントの登録、サブバージョンとトラックシステムを教えた。
「この人(私のこと)はテクニカルな人ではないけれど、彼女でも使えるので皆にはちっとも難しいことではありません」とデイヴは開口一番説明した。事実、若いデジタル世代にはちっとも難しいことではなくて、問題はあるにしても、四六時中「なんか、わかんない」と繰り返していた私とは違って、すんなりと教えられたシステムを取り込んでいた。

三日目になったら、突然何かが動き出した。

Webデザインと、Appを中期で考えるように言われていたグラフィックチーム4人がミーティングを開いて、ディスカッションを始めた。そしてITチームを呼んで、更にディスカッションを続けた。
狭いながらも恰好のついた会議室
長屋スタイルのオフィスでは会議室で何が話し合われているのか、誰がどこの部屋で何をしているのかがご隠居にも分かる。それだけでなく、ドアを全部取り除いているので、「八っさん、いる?」と訊かなくとも、すぐに「あのさあ、さっきの件だけど、、」と迷うことなく行き来ができるのだ。三つの部屋はIT,グラフィック、編集+イベントとくっきり仕事別に分けずに、3人、4人、3人と部屋の大きさでランダムに割り振った。そのため、自分以外のチームで何がおこっているのかが自然と耳に入ってくる仕組みとなった。オープンスペースに全員がいるのと違い、自分の部屋という感覚もあり、イヤホンをして音楽を聴きながら仕事をしている人もいる。

壁に貼られたデジタル用の会社ロゴの試作あれこれ

可笑しかったのはPR担当のインターンが、「Asatte Pressは広いオフィスに、このたび移り、、、」というようなことを書き始めたので、デイヴがそれを聞くと、
「前にインターンシップをしたノンプロフィットのオフィスでは、人がひしめいていて、それと比べると雲泥の差がある」と説明したとのこと。

金曜日の今日、4時ごろから第一回のパーティーをした。ドイツワイン、ブリ―チーズ、バゲットにブドウとジャムがメニューで、ワインが主な話題となった。

5時過ぎ、全員が大きな笑い声を立てながら帰った。何と言っても月曜日はメモリアルデイの祝日だし。デイヴと私は後片付けをした後、Brick Oven(イタリアンレストラン)に寄って大きく息を吐いた。そして赤ワインを飲んだ。一週間が終わった。




ワインパーティーの会場となった会議室

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