「シンガポールでは簡単に人を解雇できます。その日のうちに辞めさせて、しかも解雇の特別手当のようなものは要りません。日本やヨーロッパと正反対ですね。」 と、東京でHRを担当していらっしゃる女性から話を聞いた。宿泊中のホテルのランドリールームで軽くおしゃべりするうちにビジネスの話に発展したのだ。 彼女はアメリカのボストンにある会社の日本支社で働いていて、シンガポールに出張でよく訪れるとのこと。 「文句は出ませんか?」 「出ないですね。あっさりと辞めて行きます。日本だったらもう大変ですよ。本社の方は、シンガポールみたいに何で手早くできないんだ、って言うし」 「次の仕事が簡単に見つかるからかしら?」 「そうかもしれないですね。あっ、それから、シンガポールって税金がすっごく安いんですよ」 「ビジネスがやりやすいようにかな」 「個人の所得税なんかも8%くらいだったと思う、新入社員なんか3%くらいで、もらったお給料まるまる使えちゃう。 シンガポールの同僚と話していたら、彼女『29歳で結婚もしていないし、する予定もないから、将来のためにコンドをかった』って言うから、幾らだと聞いたら1億2千万円だって。たったの29歳の女性ですよ」 「なるほど、それで納得。新聞の不動産広告を見ていると、650Sqfで、ワンルームに書斎付きで1億円越えるんですよね、それが完売間近なんて出ているの。バブルでしょう、どう考えたって」」 「5年前は6000万円くらいだったから、これからも値段が上がっていくって期待してるんでしょうけれど。。。」 島中の高層のコンドやアパートは個人が、オフィスビルは企業や投資家が値上がりを期待して買ったり、建てているのでしょう。 「様々な企業の本社もどんどん東京や香港からシンガポールに移ってきていますよね。赴任者も安全で住みやすいと好評ですし。それに、こちらの人はすっごく良く働く。それも、女の人が。彼女たち、子供がいてもメイドや親に見てもらうから、泊まりの出張なんかも、ばんばんしちゃう」 「でも、はっきり言って、ここはお金関係はいいかもしれないけれど、それ以外は何もない所ですね。芸術なんかほぼゼロ。博物館、美術館の内容なんて見るに足らない。映画もハリウッドの子供向けが5本くらいしかない。コンサートも無い。オフィスに行って、お金を数え
Texas Hirame at Asatte Press Inc, Austin,Texas